映画見てるときの思考たれ流す

映画見ながら考えたことをたれ流します

映画『フォックスキャッチャー』のストーリー構造(監督:ベネット・ミラー)

  • フォックスキャッチャー』のストーリー構造を分析したいと思います。ストーリー全体の分析ではなく、私が気になった部分のみ分析しています。
  • また、読者の皆さんが映画を見ている前提で書いていますので、ネタバレがいやな方はお気をつけください。

観客に時間の経過を悟らせずに一気に時間を進めることで、観客は主人公の変貌ぶりに驚愕する

  • (プロット)主人公はこれまでレスリングに集中するし、酒も断ってきた。しかしオーナーであるジョンにコカインをやるように言われ、恐る恐る手を出す。その後愛国者の資金パーティーのシーケンスが始まり、次のシーンでは兄視点に切り替わる。兄は主人公に電話をし、「調子はどうだ。」と尋ねる。「今は練習を休んでいる」と言う弟。何かがおかしいと兄は勘付く。 次のカットで弟の視点に切り替わり、観客は衝撃を受ける。酒と薬をやって、髪も染めている。1:04時点

  • 観客はタイムジャンプ(物語の中の時間が大きく経過)していることに気づいていなかったので、主人公の変わり果てた姿を見て衝撃を受けるこの作劇術の肝は、 主人公の変貌ぶりを隠すために、一旦兄に視点を切り替えたという点である。この視点を変えると言うやり方を使えば、通常、タイムジャンプするときには「Xヶ月後」と言うテロップが入るが、このテロップを省略することができ、観客はタイムジャンプしたと言う認識のないまま、一気に変わり果てた主人公の姿を提示され驚く。