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映画『ホテル・ムンバイ』のストーリー構造レビュー

  • 『ホテル・ムンバイ』のストーリー構造を分析したいと思います。ストーリー全体の分析ではなく、私が気になった部分のみ分析しています。
  • また、読者の皆さんが映画を見ている前提で書いていますので、ネタバレがいやな方はお気をつけください。

危険度や賭け金が右肩上がりに跳ね上がらない

  • 賭け金や危険度が一定で高まっていかない映画リストの例
  • 実話をベースにしているし、ドキュメンタリー映像も所々に挿入されている。本来このような形にするとものすごくリアルだからこその緊迫感みたいなものが出るはずだけど、それほど感じられなかった。正直に言ってしまえば、危険度というものがずっと一定で跳ね上がっていかないので、マンネリ感があった。事件が発生してからずっと同じくらいの危険度になってしまっており、物事は動いているんだけど、ただ動いているだけ。単なる出来事の羅列のような感じになってしまっていた気がする。危険度とか賭け金が跳ね上がることがなく、物語としては面白くない。
    • 正直言うとバックパッカーカップルが一番最初に襲われたところが一番ドキドキしたこれって物語としては冒頭が一番面白かったということなので、失敗だよね。 なぜなら日常から一転するので、全体を通して最も差分(変化)が大きかったのがこのシーンだから 。これ以降の物語は同じくらいの危険度を保っているんだけど、危険度を保っているということは「変化」はしていないので、観客の感情も上下していかなかった。
  • こういう風な欠点が生じてしまうのであればフィクションで良かったかなと思う。実話をきちんと歴史として残す映像として残すことに意味があると言われたらそれは賛成だけど。

テロリストは全員イヤホンをしているので分かりやすい

  • 視覚的な特徴をキャラクターに持たせることで、観客がキャラクターを判別しやすくする
  • 街でテロが実行され、市民がホテルに逃げ込んでくる。そして逃げ込んできた市民の最後尾にテロリストが一緒に入ってくるのが観客にはわかる。なぜなら、彼らは冒頭からイヤホンをしているから。めっちゃこわかった。
    • 大勢いても、誰がテロリストか観客がすぐにわかるように、しかもアジア人の顔が判別しにくい欧州の人が見ても分かるように、イヤホンをしている人がテロリストだという外見上の工夫がある。観客の認知を意識した作りになっている。

その他

  • パターン3. 今まさにディザスターに巻き込まれている「集団」の中の最も対処する力を持つ人物にメインの視点を設定するの具体例かな
    • 主人公は最初から高潔で、勇気があり、ヒーローとしての資格を持っているように見える。とても欠点を持っているようには思えない。ヒーローがみんなのために命を張って解決するという流れ。ほとんどヒーローものに近い感じもする。
    • 正直、リアルじゃないと感じる。こんなに自分の命を投げ打って、理不尽な客もすべて神様として扱うことができる人なんているのだろうか?マザーテレサのようだ。
      • 病院に連れて行こうとしたり。イギリスの老婆のために、ターバンを取ろうとしたり。 まあ、これが真実なのかもしれんけど。
    • 実話なので、やっぱり物語としては脚本としては弱い気がする。感動はしなかった。